Interview

 

―― クリエイターインタビュー 神月社 ――


■[アイオー]とはどんなゲームか? という問いに対する1つの回答■

春先に発表されたムービーを「0」とするなら「1」にあたる今回のムービー


――今回、オープニングがようやく公開されましたが、お2人のどのようなやりとりからムービーは作られていくのでしょう?

神月 最初に中澤氏からゲームのイメージやキーワードを受け取り、テーマ曲を何百と聞いてイメージを自分の中に刷り込んでから、素材をもらって制作しています。

中澤 イメージはミュージッククリップや曲やら、できる限りの手段を使って我々が考えているものに近付け、そこから神月氏の中にあるものを「I/O」の中にも取り込もうと考えんです。

神月 あのとき参考用にいただいたテキストがものすごい量で、驚きましたよ(笑)。

中澤 情報量の多さは、「I/O」が高度情報化社会を舞台にした世界ということでもあります。氾濫する情報をプレイヤー自身が整理して、謎を解いていくという要素も表現できたらと思いまして。

――ムービーにも多くの情報が込められていますね。

中澤 そうしたこちらの意図も汲み取ってムービーに生かしてもらえたのはありがたいですね。ユーザーさんはまだ「I/O」というゲームに対して漠然とした印象しかないと思うのですが、今回のムービーでもう少し具体的なところまで想像していただけるのでは。

――以前うかがった表と裏、ONとOFF、IとOという二極性も見てとれましたが……。

中澤 そこはだいぶ意識して取り入れてもらったところもあるのですが、実は今回、神月氏のほうで作ってもらった映像イメージが、ゲーム内のイメージと偶然符合するシーンも多々あるんです。

神月 いろいろと思いつきで入れたイメージもあるし、大丈夫ですか? とこちらは戦々恐々だったんですが。

――むしろそれが良かったと。

中澤 その偶然の符合が脚本担当としては面白かったですね。ネタバレになるような話は氏にもまったくしていないんですが。

――符合する部分というのは、たとえば?

中澤 はじめのほうに水泡が浮かび上がる演出がありますが、これはシナリオ的にすごく深い意味があることなんです。

神月 そこは本来、CGのイメージから想起した以上の意味はなかったのですが(笑)。

中澤 月蝕の動画がタイトルロゴに移り変わっていくところも神月氏の演出なのですが、ロゴが円と月蝕中の月をあしらった デザインであることもバッチリ汲み取ってもらえていて。

神月 私としては物語の核心を聞かされていないこともあって、ゲームの完成が楽しみなんですよ。

中澤 聞きたいと言われれば答える用意はあるのですが(笑)、あくまでイメージのズレがなければいいかなとも思うんです。だけど断片的なイメージから憶測で作ってもらったほうが、さきほど言った偶然の符合のように良い方向に働くことが多いです。不思議と。

神月 ムービーの制作中も断片的に聞いた情報が最後にどうまとまるのかが、気になって気になって。作っている自分がそうなので、みなさんも前回と今回のムービーを見ながら、もっともっとどんなゲームなんだろう? と興味を持ってくれればと思います。

中澤 ボイスの収録時にも言われましたよ。「全貌が知りたい」って、声優さんに(笑)。ゲームの収録では抜き台本になるので。

■水泡やラインの引かれ方にも意味はある■

中澤 一見するとなんでもない演出に見えるのですが、ゲームを最後までクリアするとその『意味』がわかると思うんです。今から目を皿のようにして見ておくと、いろいろと驚きがあるかもしれません。

■物語の“歪み”を暗示させる不協和音■

神月 キャラクターが入れ替わるタイミングを曲の流れとあえてずらすことで、気味悪さや違和感を印象付けています。

中澤 ここも物語と符合してます。

■挿入される数々のキーワード■

中澤 どの言葉が重要かと言われれば、全部がそうです。神月氏が絶妙に演出してくれています。

神月 前のムービーより、各人の感情が透けて見えると感じていただけるのでは。

■お気に入りのシーンは……■

中澤 『私は、俺は――』とキャラとセリフが入り乱れ、『ここにいる!』と入る部分はオープニングで一番盛り上がる箇所。お気に入りです。

神月 ムービー用に2D素材と3Dのデータを組み合わせたところが、思いのほかうまくいきました。合成がとても気持ち良くはまっています。

――「ドリマガ 2005年12月号(2004/10/29発売)」掲載記事より抜粋


 

―― クリエイターインタビュー 健部伸明 ――


■「伝えたかったのは"生きていることには意味がある"という単純なこと」■

――本作のシナリオ執筆を手掛けられることになった経緯を教えてください。

健部伸明氏(以下健部、敬称略):監督である中澤さんの下でアシスタントをされている方が、もともと、私が専門学校の講師をしていたときの生徒だったこともあり、そのツテでお話をいただきました。当時、私はチームを組んで仕事をしていたので、本作ではシナリオの監修だけを行うこともできました。しかし、原案をいただいた段階で、非常に技量を要求されるシナリオだということがわかり、自ら執筆させていただくことになったのです。

――原案をもとにシナリオを書くにあたって、内容に変更を加えたりされたのでしょうか?

健部:変更というよりは、深めましたね。キャラクター間の相関関係で、深層部分が決まってない部分があったので、そこをつなげていきました。そうするとそのつながりから見えてくる部分もあるのですが、それについても全部中澤さんに指摘させていただきました。そうしたら「全部組み込みましょう」と言ってくださいまして……。すごく物書きを大事にしてくださるので、とてもやりやすかったですね。妥協しないという意味では、とてつもなくやりづらかったわけですが(笑)。

――4つのシナリオの魅力や見どころを教えてください。

健部:まず、Aルートは保健室での弥生先生との会話シーンを楽しんでください(笑)。このルートは、妹がいて幼なじみがいて、学校の先生がいて、学園生活があってという、設定的にはオーソドックスな学園恋愛モノになっています。だからこそ、入門用も意味した“A”ルートと設定されてるわけなんです。また、人間関係もシンプルなので、キャラクターが相手に気持ちを伝えようとする部分がわかりやすく、見ていて歯がゆかったり、ほほえましかったりするでしょう。

――なるほど。次にBルートはいかがでしょう?

健部:Bルートは、やはりクリミナルのメンバーたちによるおバカなかけ合いが見どころですね。また、そのなかでいったん仕 事が始まると彼女たちがどう変わるのか、そういった人間の二面性にも注目してみてください。

――BルートのキャラクターにもAルートのような、男女間の恋愛感情はあるのでしょうか?

健部:う〜ん……。浩介はシャイで、女の子を本名で呼べないんですよ。だからあえて名前を崩して呼ぶことで自分が照れないようにしています。みかを「ミカ蔵」、真佐実を「サミ蔵」と呼んでいるのですが、真祐実だけはなぜか呼び方が少しだけ(ユーミン)違いますよね?

――なるほど。そこに微妙な感情が働いているわけですね(笑)。では、次はCルートについてお聞かせください。

健部:イシュタルにほれろ!……というのが1番ですね(笑)。そして、このルートは物語全体の情報が行き交う話になります。けっこう核心に迫ることが出てきたり、逆にユーザーを混乱させるような情報も多かったりします。複雑なストーリーですね。

――このルートにもイシュタル以外のクリミナルのメンバーの登場が確認されています。みかは性格が異なるようですが……?

健部:2人のイシュタルと同様に、この綾瀬みかがBルートと同じ人間かどうかも、わからないんですけどね(笑)。何より、なんで彼女はメガネッ娘じゃなくなっているんだ! メガネッ娘好きには耐えられないじゃないか!?(笑)

――耐えられませんね(笑)。

健部:まぁ、それは置いといて(笑)。Cルートの彼女がメガネをしていないことにも、物語的に重要な意味はあります。

――4つ目のシナリオ、Dルートについては?

健部:Dルートは自分の信念に突き進んでいく男の、戦いの話です。このルートは、じつはとてもシンプルなお話なんですよ。そのシンプルな話を核心が見えないように隠しているので、少し複雑そうに見えてしまうかもしれませんね。

――最後に、発売を楽しみにしているユーザーにひとことメッセージをお願いします。

健部:まず、キャラクターの行動やセリフに少しでも違和感を感じたら、それには何か裏があると思ってください。そして、本作にはいろいろな悩みを抱えたキャラクターが登場します。そのなかには、プレイヤーとシンクロするキャラクターがいるかもしれません。そのとき、自分と同じ悩みを抱えたキャラクターたちがどうやってそれを乗り越えるかに注目してください。彼らなりに生きていく意味を探し、それを見つけていきます。ぜひ最後までプレイして、それを見届けてみてください。

――「電撃プレイステーション Vol.330(2005/10/28発売)」掲載記事より抜粋


 

―― クリエイターインタビュー 中澤工×田中ロミオ×SOYOSOYO ――


■スタッフが揃うまでの経緯とSOYOSOYO氏のデザイン■

――『T/O』の企画を立ち上げるに至った経緯は、どのようなものだったのでしょうか?

中澤工氏(以下中澤、敬称略):僕が去年の春に独立いたしまして、そのときにオリジナルの企画を立ち上げようという考えていました。そこで何をやろうかと考えたときに、当社(Regista)の代表から田中ロミオさんを紹介してもらったのがきっかけです。そして、企画を煮詰めていくうちに徐々にスタッフィングをしていったんですが、そこでSOYOSOYOさんをご紹介いただいたり、音楽のONOKENさんにご参加していただいたりという流れで徐々に人が集まって、今の流れになったという感じです。

田中ロミオ氏(以下田中、敬称略):中澤さんと組んで一本作ってほしい、という少し風変わりな始まりでしたね。まず企画ありきではなかったため、歩調を合わせながら討議を進めていきました。

中澤:お互いまだ初対面も同然だったので、最初は腹の探り合いというか、妙な緊張感があったのをよく覚えています。話し合ううちに、だんだんと「あ、この人はわかってるなあ」と打ち解けていったわけですが(笑)

――キャラクターデザインにSOYOSOYO氏を起用した理由を教えてください。

中澤:絵描きさんをどうしようかな? と悩んでいたときに、当社の代表の知り合いの方に絵描きさんとのコネが沢山ある方がいらっしゃいまして、その方にご相談しました。SF物やかっこいいキャラが描けて、作画スピードもある方が望ましいなどといった、いくつかの要望を出させていただいたところ、ご紹介いただいたのはSOYOSOYOさんでした。そこで、今回の作風とSOYOSOYOさんの作風が合うか、試しにキャラデザインをラフで描いてもらいました。それを見て問題がなかったので、正式にお願いさせていだきました。

――そのとき描かれたラフは、現在公開されているものとデザインは同じだったのでしょうか?

中澤:だいたい同じでしたね。主人公の日向だったりイシュタルだったりを、今とはちょっとデザインが違うんですけれども、同じような雰囲気のものを描いていただきました。たしか、そのときはデザインが上がってくるのが早かったのを覚えています。

SOYOSOYO氏(以下SOYOSOYO、敬称略):そうですね。中澤さんからいただいたキャラのプロットが、とてもイメージングしやすかったんですよ。ただ、イシュタルはけっこう今とイメージが違って、もうちょっとゴテゴテしていて、昭和80年代を意識したような服装でしたね。

中澤:ヘビメタ的な感じでした。

SOYOSOYO:そうですね。ああいった感じの服を一番最初は描いたんですよ。だけど、ちょっとこれは僕の個性が出すぎて作品のイメージが変わっちゃいそうな気がしたので、もうちょっとデザインをシンプルにしました。

中澤:シンプルというよりは、もう少し世界観を現代に寄せてみた感じですね。

SOYOSOYO:それをふまえて再デザインしたのが、今のこのデザインです。ただ、日向なんかは最初からしっくりきていましたね。

中澤:そうですね、日向は変わってないです。最初から非常にイメージどおりで問題なかったんですよ。女性キャラに関しては細部の部分だったり服装だったりを調整させていただきましたが。

――SOYOSOYO氏にお仕事を依頼されるときには、もうおおまかな設定はできていたのでしょうか?

中澤:その段階でSF近未来という舞台設定は決まっていて、このような主人公が4人いて4つのお話がありますというところまでは固まっていました。そこからSOYOSOYOさんに企画書を見ていただき、「どうですか?」と相談をさせていただきました。

――お仕事を依頼された際の、SOYOSOYOさんの率直なご感想はいかがでしたか?

SOYOSOYO:今までは同人活動などの中でかわいさを全面に押し出したキャラをデザインしてきましたが、やはり“かっこいい作品”にもあこがれていたところがありました。中澤さんからお話のプロット(あらすじ)をいただいた段階で「これだったらぜひやってみたいな」とすぐに思いましたね。

■中澤氏、田中氏、健部氏3人で作り上げたストーリー■

――ゲームのメインとなるストーリー部分は、どのようにして作られていったのでしょうか?

田中:最初に中澤さんの希望されるタッチをうかがうところから始まりました。そして、いただいた方針をもとに、それに見合う骨組み作り……おおざっぱに言えば、プロット前段階の骨組みといった作業を行いました。

中澤:そうやって、いただいた骨組みをもとに、ぼくもアイデアを出して修正を加え、書類上で何度かやりとりをしながら、原案部分を練っていきました。その後シナリオの健部さんとロミオさんがバトンタッチして、今度は健部さんと煮詰めてふくらましていって詳細なプロットを作り上げました。

――4人の主人公も原案の段階でできてたんですか?

田中:そうですね。細かいディテールはそのあと変わりましたが、主人公が高校生で妹がいなくなっているというのは設定の段階で決まりまして、イシュタルが二人いるというのもその段階で決まっていました。また、謎の怪人の男(ヒィ)がいるというのも決まってました。……じつは当初は、夢月は……ネタバレになるので詳しくは言えませんが、失踪ではない設定でした。ただそのままだと、もうどうしようもないのでシナリオの都合で失踪に変わりました。

中澤:基本的な方向性は原案の前の企画の段階で全部決まっていました。Aルートは基本的に妹のお話が展開されます、Bはハッカーチームのお話が、CとDはちょっと暗いお話が……といった感じです。

――企画の早い段階から、複数の主人公と複数のルートというのは決まっていたのですか?

中澤:決まっていました。というよりも、本当に企画に乗った形として、人にお見せできる形になった段階でもうすでにあったというとこですね。『I/O』という作品の方向性では、4人の主人公というのは本当に基礎の基礎みたいなものなんです。

――そもそも、なぜ主人公を4人にしようと思ったのでしょうか?

中澤:率直に言えばトリックのためです。トリックというかギミックがありまして、そのためには4人の主人公が必要でした。詳しいことは言えませんが、これはゲームをやっていただければ理解していただけると思います。

――2人や3人ではトリックが成り立たない?

田中:1人でも抜けるとすべてが崩壊しますね。ものすごく微妙なバランスの間で成立しているんです。

――では、仮想世界が舞台というのもそのトリックのために用意されているのでしょうか?

中澤:もちろんそのとおりです。

――ストーリー上では夢月が重要なポジションにいるようですが、そのほかのキャラでじつは重要なキーマンになるキャラはいますか?

中澤:いますよ。といいますか、夢月はたしかに重要なんですが、現在公開されているキャラクターはどれもシナリオには欠かせない役割をすべて持っていて、誰が欠けてもシナリオは成り立ちません。

田中:例えばBルートのチームのメンバーは誰一人欠けられないんです。数合わせで揃えたのではなくて本当に必要に迫られて用意しました。資料には人物相関図があるのですが。矢印で真っ黒になっています(笑)

――各キャラに設定されたタロットカードは、そのキャラのシナリオの立場を暗示しているのでしょうか?

中澤:そうですね。核心に迫ってしまうので言えない部分をイメージとしてお伝えしたいなと思ってああいう形で抽象的にご紹介しています。まだ登場していないキャラクもけっこういるのですが、それらにもやはりタロットカードが設定されています。タロットカード(大アルカナ)は22枚あるんですけれども、すべて登場人物に割り当てているんですよ。タロットカードとして商品化もできます(笑)。

――エアは仮想都市バビロンの管理者の1人ということですが、他の管理者が残りのタロットの登場人物?

中澤:さあ、どうでしょう(笑)。ちなみに、エアはバビロニア神話の神の名前でバビロニア神話をモチーフにしているんですよ。バビロンの管理者のなかにも、そういった形で他の神の名前が付いたキャラが出てきます。

■本作のシナリオに込められた2つのテーマ■

――そのように、さまざまなキャラが登場する本作で、一番描きたかったテーマとはなんなのでしょうか?

中澤:テーマは2つあります。1つは情報化社会である現代において、バーチャル技術はどんどん進化しています。そうした、現実と仮想――つまりは肉体と精神がしだいに離ればなれになっていく中で、そうなったときのある種の寂しさ、いろいろとゆがみかけた世界において人との接し方とかはどうなってしまうのだろう? そういった哲学的なことを描きたいと思いました。もう1つは、人と人とが求め合うということ、例えば好きな人を捜す、もしくは自分の最愛の人を捜す。そういった誰かが誰かを捜し求めるというテーマをゲームで描きたいと思ったんです。例えば、日向は失踪した夢月を探していますし、Cルートのイシュタルも誰かを探しています。さらに、Dルートのヒィも何かを探し求めて孤独な戦いを続けています。

田中:Bルートは、イシュタルたちがテロリストたちを捕まえようとするので、それもある意味誰かを求めていると言えますね。憎い誰かを求めているんです。

中澤:これらのテーマは単純に言うと“ボーイ・ミーツ・ガール”となるわけですが、そこに恋愛模様だったり、愛憎劇などが加わって、さまざまなドラマが生まれるわけです。

――4つのルートそれぞれのシナリオのボリュームは、どのくらいになるのでしょうか?

中澤:じつは、ルートによって全然ボリュームが違うんです。AルートとBルートはわりと長いほうで8時間ぐらいか、ひょっとしたら10時間ぐらいかなというところですね。逆にCルートとDルートは比較的ストーリーのテンポも速く、ガンガン進む感じですので、おそらく長くて6時間ぐらいでしょうか。音声をすべて聞く方は長いと思いますし、音声を飛ばしていって自分の速さで読む方は当然短くなると思います。

――最後にファンに向けてひとことずつお願いします。

SOYOSOYO:とても個性が強く印象に残るキャラたちですので、ぜひアンソロジーコミックやノベルでいじっても
らいたいですね。各キャラ1人1人を愛してくれれば、デザインした僕としてもうれしいです。

田中:『I/O』の開発もいよいよ大詰め。一本のパッケージの中にいろいろな試みを詰め込んだ、刺激的なものに仕上がりつつあります。ぜひご期待ください。

中澤:発表からもうずいぶんとたち、非常にお待たせしておりますが、そのぶん期待にそうタイトルに仕上がりつつあります。どうかご期待ください。そして、今回の作品も謎に満ちあふれたストーリーですので、いろいろと推理して遊んでいただけるとうれしいです。

――本日はどうもありがとうございました。

――「電撃プレイステーション Vol.323(2005/08/26発売)」掲載記事より抜粋


 

―― クリエイターインタビュー ONOKEN ――


■偶然の重なり■

――ONOKENさんが今回、楽曲を担当することになった経緯をお聞かせください。

ONOKEN そうですね、最初は僕がインターネット上で配信していたオリジナル曲がきっかけでした。僕の曲を使って、以前中澤さんが手がけたソフト(Remember11)のFLASH作品を作った方がいまして……。

中澤 そのFLASHをたまたま目にする機会があって、それがすごくいい音楽だったんですよ。こんなに素晴らしい曲を手がけた人はどんな人だろうと、まずは一度仕事うんぬんを抜きにして、お会いしたいなと思っていたんです。そうしたら、ONOKENさんが過去に携わったCDに、僕が一緒に仕事をしたイラストレーターさんが参加していて。これはチャンスだなと思って紹介していただきました。

――そんな縁があったんですね。

中澤 衝撃的でしたね、最初にあの曲を聞いたときは。

ONOKEN そういえば、この間のムービーもそうでしたよね。

中澤 別件でやっぱり自分が過去に手がけた作品の自主制作ムービーがあり、そこでもONOKENさんの曲が使われていて驚きました。これもいい曲だなと思っていたら、それもやっぱりONOKENさんで。

――どういった曲調の作品でした?

中澤 疾走感のある曲でした。あれは聞いたことがなかった曲なので、なおさらびっくりしました。

ONOKEN ずいぶん昔の曲ですから。あれは確か16歳のときのものですね。

――ONOKENさんはコンピュータで楽曲を作るほうが多いのでしょうか?

ONOKEN 普段はピアノでネタを作っています。本格的に作り出すとなるとやはりコンピュータでの作業になりますね。出来るだけ打ち込みは避けて、生演奏の呼吸感を大切にするよう心がけています。まぁピアノ下手ですけど(笑)

 ONOKEN氏とI/Oの奇妙な符合?

――ゲームの発表とちょうど同時期にリリースされたサウンドトラックですが、これには全部の楽曲が収録されているわけではない?

ONOKEN ええ。全23曲中の11曲です。

中澤 ゲームの発表と同時期にリリースしたのは、言葉で伝わらないところをユーザーさんに感じていただこうと思ったからです。

ONOKEN 中でも公式サイトのムービーで使用されているテーマ曲「Fragment」は、一番時間をかけました。収録されているものはショート版なのですが、ちゃんとロング完全版というもの存在するんですよ。ギターのソロシーンですとか、歌詞の重要なところだとか、ロングにしかない味というのは山ほどあるんです。

中澤 実はロングバージョンはユーザーさんが実際に聞くのはゲームの発売後になるはずです。

――それは、どういった意味合いがあるのでしょう?

中澤 別に強烈なネタバレが含まれているとか、そういうのではないのですが……ゲームをプレイした後に聞いていただくと、すごく感じ取れるものがあると思う曲なんです。ショート版にももちろんそうした要素はあるのですが、ロングを通して聞いてもらえると、また違った印象を受けると思います。

ONOKEN ほかの曲も、よくエロい曲とかそんな感想をもらうんですが……。

――エロいというと?

ONOKEN ああ、僕自身、気持ちがいいものやプラスに感じる事柄をよく「エロい」と表現するのですが、そのせいでよく『エロい曲を書く人』なんて紹介されたりするんです。「どんな曲を作る奴なんだ?」と、誤解されがちなのが難ですけど。

中澤 ところでこれは偶然ですが、「エロ」という文字は「I」と「O」にも見えますよね。そんな妙な符合もあったりして、彼とは縁があるなぁと。

ONOKEN じゃあ「エロい曲の人」じゃなくて、「I/Oの人」とも覚えてもらおうかな(笑)。

中澤 今回の制作チームは、そうした符合や趣味的な話が妙に一致するスタッフがなぜか多いんです。ONOKENさんも、ちょうど彼が商業の仕事を始めたばかりの頃に引き受けてもらえたのが、すごくいいタイミングでしたね。今だと忙しくて引き受けてもらえなかったでしょうし。

――曲の発注の際は、中澤さんから「こんな曲がほしい」という指定があるのでしょうか。

ONOKEN 毎回的確な指定を出してくれますね。だけど「こういう表現もあると思うんだけど、どうだろう」と勝手にオーダーを別解釈しちゃって、守れていないことが多いです。

中澤 だけど実際に聴くとそっちのほうがよりイメージに合うところがうれしいですね。妖精・レムのリコーダー曲の話もそうですし。今回のソフトはそれぞれのクリエイターやアーティストの個性を生かした形で参加してもらっているので、むしろそうした提案はどんどんしてもらい、作品イメージと合致する場合は積極的に採用していきたいです。

ONOKEN レムのリコーダー曲は「思いついたからやっちゃえ」という勢いで作ったのですが、実はその時マイクスタンドを貸し出していまして、えらく苦労した覚えがあります。

――というと。

ONOKEN あまりに無理な態勢でリコーダーを吹いていたので、誰かに見られたらどうしようかと思いました……。

中澤 そんなエピソードが(笑)。

――では最後に、本作を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。

ONOKEN 今回のようなゲーム曲の場合、着手から発表までがかなり長い期間に渡るので、その感ずっと付き合っていく曲達には深い愛情があります。それは音にもちゃんと現れているし、自分の成長を再確認する事にも繋がりました。スタッフ全員が刺激し合い成長し合ったこの作品には、作り手の愛情が染み込んでます。少しでも感じ取って貰えたら嬉しいです。

――「ドリマガ 2005年9月号(2004/07/30発売)」掲載記事より抜粋


 

―― クリエイターインタビュー SOYOSOYO×一之江潤 ――


■キャラクターデザイナーSOYOSOYO氏とCGデザイナー一之江氏が語るI/Oの世界■

企画原案・シナリオの中澤工氏、企画原案を中澤氏とともに担当する田中ロミオ氏に続いて今回は、本作の魅力的な世界をビジュアル面で彩る両名にインタビューを試みた。ご同席いただいた中澤氏を交え、興味深いお話も……。

 正面からの意見交換で決まった現在のデザイン

――お二人がこの作品に参加された経緯をお聞かせください。

中澤 SOYOSOYOさんは知人から紹介してもらった作家の方で、いい雰囲気の絵を描く人だとうかがっていました。それで各ルートの主人公をサンプルがわりにデザインしてもらったのですが、作品イメージにピッタリだと感じました。一之江さんはPC版「Cross†Channel」の後にフリーになられたと聞き、ぜひにと声をかけた次第です。

――最初に本作の概要をうかがったときの感想は?

SOYOSOYO 当時は「AI(アイ)」というタイトルでしたが、ミステリーアドベンチャーという題材に惹かれました。こういった世界観は好みなのですごく楽しいし、やりがいがあります。

――当時、近未来ものというコンセプトはすでにあったのですか?

SOYOSOYO ええ。たとえば「ブレードランナー」や「攻殻機動隊」といったサイバーパンクな世界をイメージしてほしい、とのお話でした。

――実際の制作時は、互いにどんなやり取りをしているのでしょう。

一之江 キャラクターの配色などは3人でセッションして決めています。この作品は制作メンバーが小人数なので、ガチンコで。いただいたキャライメージをあえて崩すような配色を試すこともありますが、中澤氏に見せると「いいんじゃない」と採用されたこともありますね。

――たとえば誰のどんな配色でしょう?

SOYOSOYO クリミナルのメンバー・みかは当初、じつはピンクに近い赤系の服装だったんです。

中澤 緑になったのは設定上の意味合いもありますが、結局は収まるべきところに収まったなと思います。

一之江 あと彩色に関して言うと、今回はコントラストを高めにしてあります。サイバーな感じが出ていると良いのですが。

――デザイン的に大きく変わったキャラクターは?

SOYOSOYO イシュタルはけっこう変えましたね。もっとごてごてしていた服装を、今風にアレンジして。

中澤 あとは篠塚姉妹がカチューシャでまとめていた髪型をリボン留めにしてもらったり、誰にかぶらせようか迷っていた帽子をみかに与えてみたりといった変更点も。

一之江 逆に浩介や日向、ヒイはほとんど変わってませんね。

中澤 男性陣は最初からほぼイメージに近いデザインでしたから。

SOYOSOYO 変わったといえば、学園制服。

一之江 最初はもっとキャッチーな色合いでしたね。薄い青と白がベースの色で。

――そのカラーでいくと、学園恋愛もののような制服になってたかもしれませんね。ちなみに最も自分らしさが出たと思うキャラクターは誰でしょう?

SOYOSOYO みかですね。彼女は不思議と同じ作り手の立場にいる知人たちにウケがよく、コスプレなどに興味がある人にはイシュタルが好評です。女の子キャラが好きな人は夢月や篠塚姉妹が上位にくるようで、層によって人気のキャラクターが分散しているのが興味深いところです。

――これから制作も佳境と思いますが、ゲームを楽しみにしているユーザーにひとことお願いします。

SOYOSOYO 自分がデザインしたキャラクターたちがどんな活躍をしていくのか、いちユーザーとして楽しみにしています。自分らしいデザインには仕上がっていると思うので、そのSOYOSOYOらしさを感じ取ってもらえれば。

一之江 自分の光源表現はクセみたいなところもありますが、光の色や空気感というのは常に大事にしています。2Dの絵は実在のものとは違って虚構の世界ではありますが、そこに空間の広がりをいかに見せるかが自分の仕事だと思ってますので。肌の色とか質感とか、人間の目をいかに誤魔化せるかという“上手な嘘”がつければいいと思います。

SOYOSOYO 加工技術やフィルター効果にはいつも驚かされます。一之江マジックというか……。今後もよろしくお願いします(笑)。

――「ドリマガ 2005年5月号(2004/03/30発売)」掲載記事より抜粋


 

―― クリエイターインタビュー 中澤工 ――


■「I/O」という作品に関するエトセトラ■

 AとBは対比する、という「相反する言葉」は重要です

「このゲームの出発点は『近未来もの』ということですら無かったんです。サイバーテロという要素もなく。最初はストーリーとかそういう内容は一切決めずに、ギミックや構成、骨組みから作っていったんです」

そう語るのは、本作のシナリオを手がける中澤氏。複数の視点から物語を追うミステリタッチの話を作ろうと考えたとき、タイプの異なる男女4人の主人公を立てようと考えたという。

「全く別の主人公をわかりやすくドッキングするなら、ボーイミーツガールみたいな男の子が女の子、もしくは女の子が男の子を探すというか、惹かれあうようにして最終的には出会う展開がわかりやすいな、と。誰かが何かを探すというのを核にしつつ、情報化社会の発達した心と体が乖離(かいり)していくような……寂しい気持ち、そういった複雑化した社会の寂しさや、喜びを表現していってはどうか、と考えました」

 〜〜(中略)〜〜

「AやBを表社会の話とするならば、CとDは裏社会の話です。暗くて犯罪的な。実はAとDは物語全体で“対比”の話になっていて、BとCで対比になってます。また、AとBでも対比で、CとDでも対比になっているんです」

Aの主人公の日向は離人症的で自分自身が掴めず、流されるように受動的。しかし、Dの主人公は能動的でアグレッシブ。このように、主人公像も対比している形らしい。

「ストーリーの軸を考えたとき、これを解決するにはC・Dルートのような危険な話も絶対必要だなと。最終的な彼らの目的を達成するには、綺麗事だけでは駄目だ、みたいなところがあって。4人の主人公が相互に補完しあってるんですよね、色々と。たとえばチュンソフトさんの『街』みたいにキャラクター同士は全く面識もないし裏で話をあわせているわけでもないのに、うまい具合に関係しあっていく。そういった絡み合う部分が面白いと感じてもらえるのでは」

ともにゲームの企画を手がけた田中ロミオ氏について氏は、発想力と「持っている引出し」の違いに驚かされたと言う。

「物語の核心に迫る話になるので言えないことが多いですが、今回のシナリオの最大のトリックが二つあるんです。その内の一個をロミオさんが考え、もう一個を僕が考えたんですが、ロミオさんのトリックが僕では思いつかない方向性というか。ただ、それを実際にゲームで表現するのが非常に難しくて、頭を悩ませました」

――「ドリマガ 2005年4月号(2004/02/28発売)」掲載記事より抜粋


 

―― クリエイターインタビュー 中澤工×田中ロミオ 2 ――


■コンセプトトーク■

中澤氏の提示した題材や企画コンセプトを受け、ともに「I/O」という作品を創り上げていった田中氏。ここでは企画がスタートした当時のお話を振り返りつつ、本作の魅力に迫ってみようと思う。

――お二人が本作を手がけることになった経緯は?

田中 当初からタッグで仕事を、と中澤さんをご紹介していただきました。最初は口頭のやりとりで、書類や企画書はまだない状態でしたね。

中澤 そこから、打ち合わせや簡単な書類でのやりとりを経て、徐々に形作っていったという感じです。

――実際のやりとりはどんな感じで進んでいったのですか?

田中 まず、中澤さんからどういった方向性の企画が望ましいかをうかがいました。あとあとトラブルを招かないよう、とにかく本音に近いレベルで「やりたいこと」を引き出すのがコツなのですが、今回については方針は明瞭で苦労はしませんでした。

――というと?

田中 たとえばこれで「ヒロインが25人くらい登場する学園純愛もので、とにかくすごい感動ストーリーを。執筆期間はウチでは一ヶ月が普通です」などという状態で仕事をはじめますと、逃れられぬ死が訪れます。そうなると、もはや私自身の死で感動を呼ぶしかありません。とにかくどこまで削っていいのか、絶対に譲れない部分はどこかを確認し、その方針を骨格に、見せ方やギミックなどの肉付けを行っていきました。

――コンシューマオリジナルの作品ということで、意識した点は?

田中 心境はいつもとそう変わりはしませんでした。もちろん倫理関係の制限はありますが。しかし、成人向けの表現ができないとなると、逆に入れたくなるのは何故だろうなとは思いました。

中澤 同感です。実はむかーし、ひっそりと18禁のPCゲームに携わった経験があるのですが、そのときに比べてコンシューマをやっているときのほうが、倫理規定のグレーゾーンに触れたくなる誘惑にかられます。

――本作を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージを。

中澤 発売まで時間がかなりあると思いますが、順次情報を出していきますので、あれこれ想像してもらえるとうれしいです。

田中 この企画には多くの著名な方にご参加いただいておりますが、それが結果的に良い方向に働き、私一人では到底作れないものを実現できたのではないかという感触があります。「I/O」が提示するクールでエキセントリックでミステリアスな世界と物語に、是非ご期待ください!

――「ドリマガ 2005年4月号(2004/02/28発売)」掲載記事より抜粋


 

―― クリエイターインタビュー 中澤工×田中ロミオ 1 ――


■混沌とした世界の中で生きる喜び、痛みなど主人公の視点から描く■

――この『I/O』は、お2人初のコラボレーション作品ということで、非常に魅力的なタイトルになりそうですが、制作に携わった経緯を教えてください。

中澤工氏(以下、中澤):会社でオリジナル作品を1本動かしたいという企画が持ち上がり、それにあたって、田中ロミオさんを紹介していただき、方向性が合いそうなので、この企画が実現しました。僕自身もコラボに興味があり、刺激し合って作品を作ってみたかったんです。

田中ロミオ氏(以下、田中):別件で仕事をしていた方からのご紹介で中澤さんと企画することになりました。最初に中澤さんから、方針や目指すものをうかがって、それを実現できるような企画の土台を作っていきました。

――この『I/O』の舞台は、現代の雰囲気を残した近未来ですが、この世界観を作った意図はなんでしょう?

中澤:近未来にした理由というのは、一番に表現したいギミックに世界観が合っていたからなんです。けれど、現在のゲームの主流ではないので、とっつきにくさを解消するため、SFと言いつつ現代らしさを残しているんです。

――では、ズバリ、この『I/O』で描こうとしているテーマとはどんなことでしょうか?

中澤:今の世の中って価値観がたくさんある、あいまいな世界だと思うんです。ネットの普及によって、情報や価値観が入り乱れて「現実感」が失われつつあるんですよね。そして、この現象は今後もどんどん加速していくと思うんです。そんな混沌とした世界の中で生きる喜び、痛みなどを主人公の視点から描くことがテーマです。

――この作品は、4人の主人公、4つのシナリオで展開するということですが、その意図はなんでしょう?

中澤:1つの出来事を複数の視点で見ることで、多面的に出来事を描きたかったのが理由の1つです。もう1つはシナリオに深みを持たせるという意味もありますが、ギミックのためです。シナリオの根本に関わることですが、今作には、この4人の主人公の存在と、4つのシナリオをプレイしなければならない理由があるんです。ぜひ自分の目で確認してみてほしいですね。

――最後に読者に向けて、ひと言お願いします。

中澤:僕と違うおもしろさの引き出しを持つ田中さんの方向性が加わったことで、『I/O』は今までにないエッセンスが感じられる作品になっています。何度もプレイしてすべてを知りたくなるような、やり込めるゲームを目指しておりますので、ぜひ期待していてください。

田中:みなさんを『I/O』で振り回せたらいいなと思ってます。リラックスして臨んでいただけると幸いです。


■Aルート■

中澤:奇をてらわない、高校生の身の回りに起きる怪事件を追う学園ものです。身近なサスペンスで、親しみやすいストーリーになっています。現代の感覚と違いがあまりなく、この世界を知ってもらうための、いわばこの作品の入門編のようなお話ですね。

田中:日常が非日常に浸食される不安感やら喪失感やら謎やらいろいろありますが、けっこうボーイミーツガールなストーリーなんじゃないかと思います。


■Bルート■

中澤:Bルートではネットが発達した世界では避けて通れない、ハッカーのお話です。情報系の犯罪とか、ちょっとアングラな、世界の裏側を描いていきます。Aルートと対照的な話ですね。ただ、ハッカーチームといっても、犯罪ではなく、彼女たちにとってはクラブ活動みたいなものなんです。自分の好きなものを研究するために情報交換をしている、そんな感じです。そんな彼女たちの日常を追うストーリーですので、キャラ同士の楽しいかけ合いは見どころの1つですね。

――「電撃G'sマガジン 2005年2月号(2004/12/27発売)」掲載記事より抜粋



 

※当サイト内の文章・画像・音楽など各種素材の無断転載・加工・再配布を禁止します
(C) Regista / GoodNavigate